ここは洲本市由良・天川地区。テトラポットを穏やかな内海の波が洗い、海面を漁船が行き交う、古くから続く漁師町です。かつて万葉の歌人たちは由良が臨む紀淡海峡を「由良の門(ゆらのと)」と呼び、歌枕として愛で、自らの歌に織り込んできました。
さて!本日の舞台はそんな歴史情緒あふれる由良の街。目指すは30年の長きにわたり、由良天川の人々に寄り添い続けたお好み焼き屋さん。地元の方に「天川のオアシス」と言われ慕われている名店です。由良の人々の悲喜こもごもを、ささやかに、温かな光で照らし続けるそのお店の名前は…
さいとう:「こんにちは。トウダイモトクラ荘住人のさいとうです。「ほぉたるはリバーサイド♪」と陽水の名曲をもじりつつ、やってきたのは由良のお好み焼き屋「ほたる」。天川沿いにあるこのお店は、地元の常連さんに愛される場所であると同時に、テレビ出演を機に遠方から訪れる人も増えているというもっぱらのうわさ。早速向かいましょう!」
意気揚々と現場入りする住人達。しかし、初めての取材とあって、予定時間より20分も早く到着してしまった。
さいとう:「完全に勇み足ですね…」
そう。ここは島時間が支配する土地・淡路島。5分前行動など、有って無きが如し。遠足の時も、修学旅行の時も、バスが発車するのは出発予定時刻を過ぎてからである。20分も早く着きすぎた我々を、ご主人は歓迎してくれるのだろうか?
常連さん:「OKだって~!!」
良かった~!
橋本さん:「じゃあ、取材にする?それともご飯にする?」
さいとう:「あ。じゃあ調理してる間に取材させてもらっても…」
橋本さん:「ならそうしようか!」
入った瞬間からなにくれとなく世話を焼いてくれるこの感じは、実家の母親を彷彿とさせる。
今回は人気を二分するスジ豚玉とかたそば、そしてもう一品とうふ玉をオーダー。
早速ですが、いただきまーす!
まずは一番人気のスジ豚から。
さいとう:「う~ん、美味しい!もちもちな、かなり甘めの生地ですね!」
続いてとうふ玉。
さいとう:「見た目がすでにふんわりしてますね。」
橋本さん:「生地は先ほどのお好み焼きと同じ。絹ごし豆腐を一つにつき半丁程度、崩して入れてあるから食べやすいで。」
さいとう:「なるほど、ボリュームの割にヘルシーなんですね。」
お次はかたそば
ちゅるちゅる…
さいとう:「おっ。」
橋本さん:「おっ?笑」
さいとう:「歯ごたえが半端じゃないですね!でも固いという感じでもなく、しっかりと火は通りつつ、麺自体のコシがちゃんと残ってる。歯ごたえがありながらもつるつるとしていて、ものすごくのど越しがいいです!」
橋本さん:「焼きそばみたいに炒める前に、麺自体を軽く蒸してあるの。それと、炒めるときにお水じゃなくてガラと野菜のお出汁でほぐすのも由良流。あとは、麺との出会いかな。今まで扱ってた製麺所が休止しちゃってね。新しい麺を探してたところで、偶然見つけたねん。取り扱いがなくなったときはどうしようかと思ったけど。ピンチはチャンス、やね。」
さいとう:「そして、すべての料理に入ったスジ肉がいい仕事してます。粉もんやソースの味にも負けずに肉の旨味を程よく主張してくるこの感じ。肉だけにニクいですね!」
橋本さん:「茹でて、茹でて、洗って、切って、また炊いて。」
さいとう:「うわあ、すごく大変。スジは下処理が命ですもんね。」
橋本さん:「茹でるのは短いけど、そのあとしばらく置いとくんよね。それで、余分な脂をちゃんと洗い流して、で、切ってすじこんサイズやみそ炊きサイズに切るねん。」
常連さん:「脂を洗うだけでも大変そう。」
橋本さん:「そうそう。由良の人はスジが大好きやからな。」
(前編)では実際にお料理していただきながら、「ほたる」のメニューへのこだわりについて、お話をうかがいました。(後編)では、店主・橋本さんのお客さまへの想いについてお話をうかがいます。楽しみにしていてくださいね。
ほたる
所在地:兵庫県洲本市由良町144-4
電話: 0799-27-0717
営業時間:17:00~22:00
オーダーストップ 21:30
(金・土のみ下記時間帯も営業)
11:30~14:00
オーダーストップ 13:30
定休日:日曜日・月曜日
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
駐車場:有